見えざる頭頂部に忍び寄る神のイタズラ ~30歳独身男・遂に気付く~
皆さんはご存知だろうか?
自らの頭頂部に、神のイタズラが仕掛けられていると気づいた時の、あの驚嘆と恐怖と絶望のスパイラルを。。。。。。
その日は突然やってきた。
それは、とある仕事でAGA(いわゆる薄毛)について調べているときだった。
(なるほどね…AGAって進行具合がある程度パターン化されてんだな…。ハミルトン・ノーウッド分類が元になって、日本人に最適な進行パターンとして高島分類が生み出された…と。)
本当に、本当に、ただ平凡な日だった。
私はただ、仕事に熱心に取り組んでいただけなのだ。
なのに、なのに、か、神よおおおぉぉぉ!!
(額の生え際が頭頂線から2㎝以内にあったらやばいんだな…。あれ、そういえば、俺も結構M字来てるんだよな。。けどまだ2㎝までは言ってないから大丈夫かな? そういえば、最近トップの立ちが悪いと思ってたけど…高島分類によると…まさかね…)
「ねぇYさん、僕の頭頂部を撮ってくれないかな?」
私は後輩のYにiPhoneを渡し、私の頭頂部を撮るように頼んだ。
「どうしたんですか、急に?(笑)」
そういいながら、Yはしっかりと構え、私の見えざる頭頂部を激写した。
「はい、撮れましたよ!」
「ありがとう。で、どうかな?」
「どうって?」
「つまり、その…来てる?」
「来てます!薄いです!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その時私には、見て見ぬフリを続けるために作り上げてきた虚像がはがされた驚嘆と、これから着々と迫り来るであろう未来への恐怖と、それに対して成す術なく立ち尽くすままの絶望的状況だけが、頭の中を駆け巡っていた。
本当は、私は気づいていたのだ。いつかこういう日が来ることを。。。
そう、私はそういう意味ではとてつもなく優秀な遺伝子を持っており、そして私の生え際はすでに警鐘を鳴らし続けていたのだから!!!
(親父の写真)(母方の祖父の写真)
(いやしかし、それにしても、もう少し伝え方あるだろ…俺先輩だぞ…)
そんなツッコミを心の中でつぶやきながら、私はしばらく呆然としていた。
そこへ、もう一人の後輩Tがやってきて、こう告げた。
「Kさん、まだ大丈夫ですよ、多分。まぁ、僕は専門家じゃないんで適当な慰めしか言えないですけど(笑)とりあえず、いろいろケアしてみたらどうですか?ほら、スカルプシャンプーとか。」
「あ、あぁ…気持ちばかりの慰めをありがとう…」
(確かに、確かにまだあからさまな形にはなっていない。しかし、これは確実に来ている。対処するなら今だ!いや、今でしょ!)
こうして、私の長きにわたるAGAとの戦いが幕を開けたのだった。
続く…。